Linux でディスク容量消費を把握する ncdu
ncdu は du を ncurses でちょっとリッチにしたもの。 apt や yum で入ります。
root になって /
に移動したあと ncdu
を実行するとすぐにスキャンが始まります。
スキャンが終わると冒頭の画像のようにリストが表示されます。i
で情報が表示できる。 q
で終了。
ストレージの小さい仮想サーバーが常にカツカツなので使い始めました。今後もお世話になると思います。
C++ で依存性をどこで注入するか
オブジェクト指向設計において、オブジェクト間の依存をコードの奥深くに埋め込むのは得策ではない。しかし同時に、誰から見て依存関係がはっきりとわかるべきかは、設計者が判断すべきことである。C++ において、オブジェクトのユーザーが依存関係を見ていいなら、テンプレートでいいだろう。オブジェクトの設計者だけが依存関係を見るべきなら、インターフェイスを使うべきだろう。
インターフェイスか、テンプレートか
C++ で、あるクラスの実装において、他のクラスの名前を具体的に書くことを避けるためには、例えばインターフェイス(のようなもの)や、テンプレートといった対処法がある。
テンプレートを用いたジェネリックプログラミング
C++ のテンプレートは、引数の具体的な型を書くことなしにクラスや関数を宣言・定義することを可能にする。POODRの記事で触れたダックタイピングのひとつでもある。
次のようなコードでクラスを宣言したとする。
template<class loader_t> class CelestialObject { public: CelestialObject(loader_t* loader); };
すると、このクラスは次のようにして使える。
auto config_loader = new LoadConfig(); auto perseus_cluster = new CelestialObject<LoadConfig>(config_loader);
この CelestialObject<LoadConfig>()
のように、 <型>
と指定することで、上の例で言えばソースコード中の loader_t
がコンパイル時に具体的な型名に置き換えられて、実際に使われるコードが生成される。
クラステンプレートを使うと、しばしば入れ子のテンプレート表記ができる。たとえば次のような定義も書くことができる。
std::vector<std::map<std::string, std::map<std::string, double>>> data;
ここまで来るとさすがに新しくクラスをつくったほうがいいだろうが、このようにテンプレートが入れ子になるとコードは長くなり、あまり見た目はよくない。
また、クラステンプレートを1箇所で使うと、そのクラスを受取るクラスでもテンプレートを使うか、後述のインターフェイスを用いる必要が出てくる。これはテンプレートクラスの型が、具体的な <型>
を指定して使用されるまで決まらないことによる。上の例で言えば、 CelestialObject
ではなく CelestialObject<LoadConfig>
まで決まって初めて型として指定できる。何らかの基底クラスを継承した場合は、基底クラスへのアップキャストが機能する。*1
ところで、テンプレートに具体的な型を入れて使うコードが見えるのは、たいていクラスのユーザーなので、テンプレートを用いると依存関係を見るのは各クラスのユーザーということになる。これは必ずしもデメリットではなく、ユーザーが自由に依存性を注入できるという意味ではとても自由度の高い設計を実現できるというメリットもある。というかメリットが非常に大きい。STLはこれによって成り立っている。
継承によるインターフェイス
上の例の LoadConfig
クラスを、あるインターフェイスクラスの派生クラスとすれば、インターフェイスクラスを介して渡すことができる。
class LoadConfig: public ILoader {};
クラスのユーザーは次のように基底であるインターフェイスを指定する。
class CelestialObject { public: CelestialObject(ILoader* loader); };
すると次のようにアップキャストによって派生クラスを渡すことができる。
auto loader = LoadConfig(); auto cygnus = CelestialObject(loader);
このコードの loader
の型は LoadConfig*
だが、LoadConfig
は基底として ILoader
クラスをもっているので、 CelestialObject
のコンストラクタに渡すことができる。このように子クラスではなく親クラスへ依存を張ることは、POODR やデザパタにあるように、より変更に強い設計を実現するための基本だ。
ところで、インターフェイスを用いた依存性注入が行われるのは、クラスの設計者側である。依存関係をクラスのユーザーに見せないことが良い場合もあるだろうし、一方でユーザーが自由に依存性を注入できないことがデメリットになる場合もあるだろう。
結局どっちがいいのか
インターフェイスとテンプレートのどちらかが絶対に良いということはなく、個々のケースで設計者がどう判断するかによって取るべき方法が自然と決まってくるだけだろう。研究用に自分だけが使うコードならテンプレートを存分に使えるだろうし、フレームワークやツールキットなどの他人に使ってもらうコードならインターフェイスが良いかもしれない。
ただまあ、インターフェイスを使うとそのぶんクラスが増え、コード量も増える。一方でテンプレートを使うとヘッダファイルとソースファイルの分離ができなくなる。
個人的には見た目がいまいちでも楽なのでテンプレートを使っている。
*1:この段落は公開後に追記した。
Practical Object-Oriented Design in Ruby 読書メモ
オブジェクト指向設計は、品質の高いソフトウェアを開発するためにはどう設計すべきか、という問いに対するひとつの解。適切にグルーピングされたオブジェクト同士が適切な相手とのみメッセージをやりとりする。相手が誰であるかよりも、自分が出したメッセージに相手が反応できることを重視する。オブジェクトは基本的に相手の詳細を知ろうとしないし、自分のことを不必要にさらけ出さない。
以下、Practical Object-Oriented Design in Ruby (Sandi Metz) を読んで。
How Design Fails
プログラマーは設計について知らなくてもプログラムを書けてしまうが、規模が大きくなるとそのプログラマーは「ええ、その機能を追加することはできますが、それによって何もかも壊れてしまいます」という状態になる。
設計について知ってはいるが、適切な適用方法を知らないプログラマーはオーバーデザインしてしまう。パターンがないところにパターンを見出し、*いしのなかにいる* になってしまい、「いえ、その機能は追加できません。これはそういうことをするようには設計されていないんです」となってしまう。
設計とプログラミングが隔離されていても失敗する。設計段階での誤解がコードにそのまま残る。“専門家”が設計したアプリケーションを書かされるプログラマーはこう言うだろう。「なるほど、確かにこれを書くことはできますが、これはあなたが本当に欲しいものではないですし、後悔することになりますよ」
オーバーデザインはつい先月経験した。永続化が必要ないところにリポジトリを作ろうとしてしまい、リポジトリの書き込み/読み出しを書こうとして「なんだか複雑すぎる」と感じたあたりで永続化が不要なことに気づいた。また、ストラテジーパターンで済むところにファクトリーを作ろうとしたりもした。なんならストラテジーも不要かもしれないが、僕のケースでは依存性をどこに埋め込むかという判断と、依存性を分離することで得られる抽象化とコードの複雑さのトレードオフの問題だった。
「設計とプログラミングが隔離されていても失敗する」ことについては、 Eric Evans の『ドメイン駆動設計』(DDD) が代表的な文献だろう。DDDは分量こそ多いものの読みやすいので気軽におすすめできる。DDD はメンテナンスしやすいコードを書くためのひとつの設計手法で、コードにそのまま埋め込めるような設計をめざす。
僕がいま書いているコードは基本的に僕しか使わない、大学院での研究のためのコードなので、あまり設計について拘らなくても問題はないかもしれない。実際、ほとんどの同期や先輩、後輩は設計についてまったく気にしていない。ひとりだけ、オブジェクト指向やデザインパターンを勉強してコードを書きまくっている優秀な同期がいる程度。
しかし、研究室に数年間だけ在籍する学生こそ、オブジェクト指向などの設計を身に着けたほうがいいと僕は思う。研究室にもよるが、うちの研究室では研究は基本ひとりでやり、先輩の研究の続きをやることが多い。すると、自分のコードを数年後に読み直すハメになる後輩がいるかもしれない。雑に書かれたレガシーコードに向き合うのはかなりキツい。プログラミングに慣れていない学生にとって他人のコードを読み解くのは(設計がきちんとしていようがいまいが)大変な作業だし、研究の本質的な部分ではないので解読やリファクタが進んでも「進捗が出ていない」感が拭えない(少なくとも自分はそうだった)。*1
単一責任の原則
オブジェクト指向システムの核心はメッセージだが、最も見えやすいのはクラスだ。あとで変更しやすいクラス設計にしておけば、現在と未来の両方で利益がある。「変更しやすい」とは、たとえば次のように定義できる。
- 変更の副作用がない
- 要件の小さな変更が、ふさわしい小ささの変更をコードに及ぼす
- 再利用しやすい
- 変更する最も簡単な方法が、「それ自体変更しやすいコード」を加えることである
であれば、コードはTRUEであるべきだ。
- Transparent 変更するコードと、それに依存するコードに関して、変更の結果が明白である。
- Reasonable 変更のコストが利益に比例している。
- Usable 既存のコードがまったく別のコンテキストでも使える。
- Exemplary コードを変更する人がTRUEなコードを書くよう、コード自身が促す。
未来に起こりうる事件を防ぐためにいまコストを支払うべきか?これは個々のケースごとに現在の利益と未来の利益のトレードオフを計算すべき問題だ。
データ構造ではなく振る舞いに依存してコードを書くことも、変更しやすいクラス設計で重要だ。
SOLID 原則の S、単一責任。クラスが単一責任であると保証することが、TRUEなコードを書く第一歩である。クラスに目的外のメソッドやメンバ変数がいるべきではない。
OO設計がまったくわかっていない時期には、手続きっぽい書き方で、見えていないはずのデータ構造にめちゃめちゃ依存するコードを書いてしまう、というのをとてもたくさんやった。オブジェクトを設計せずに、配列やコンテナにインデックスでアクセスしまくった。データ構造に直接手をつっこむコードは一夜にして壊れるし、変更を難しくするので絶対にやめたほうがいい。
OO設計を徹底するとコード量はまず増えるが、それは適切な抽象化を行うために必要な増加であって、ひとつのクラス内で使うアルゴリズムだけに限れば、短くてきれいなコードほど正しく動く気がするし、少なくともメンテしやすい。
依存の根を張らない
依存性は、他のクラスの名前、他のクラスに送るメッセージの名前、メッセージの引数、引数の順番のどれかをオブジェクトが知っているときに存在する。依存は少ないほどよい。
他のクラス名を直接書くことを避けるには、Dependency Injection (DI) が使える。DI が使えないときには、ラッピングするなどして依存を隔離することで影響範囲を最小限に抑えよう。
依存関係は、より変化しやすいクラスからより変化しにくいクラスへ張られるべきである。具体クラスより抽象クラスに依存するほうが安全だ。
抽象クラスに依存すべき、というのは GoF のデザインパターンを眺めてなんとなく感じた。
C++ で DI しようとすると結構苦労するので、最近は普通にテンプレートを用いたジェネリックプログラミングをしている。IDEでクライアントコードを書くまで間違いに気づけないのがアレだが…(多分IDEの使い方が間違ってるんだと思う)
柔軟なインターフェース
- 「どうやってほしいか」を伝える代わりに「何がほしいか」を伝える
- 文脈に依存しない
- 他のオブジェクトを信頼する
- メッセージをつなぎまくらない(デメテルの法則)
僕はまだ油断すると手続き的にシーケンスを設計してしまい、インターフェースも文脈依存になってしまう。他のオブジェクトを信頼すれば、文脈依存性を減らせる。「『どうやってほしいか』を伝える代わりに『何がほしいか』を伝える」のは結構大事で、無駄な依存をへらすのに役立つ。
ダックタイピングでコストを減らす
アヒルのように振る舞うなら、それはアヒルである。あるオブジェクトのユーザーにとって、大事なのはそのオブジェクトのクラスではなく、インターフェースである。ダックタイピングを使うことで、具体クラスへの依存を減らせる(なお抽象クラスを実装する必要はない)。多態性はダックタイピングや継承・トレイト(Ruby ではモジュール)によって実現できる。
C++ のテンプレートはまさにダックタイピングと言える。
継承とトレイトとコンポジション
継承は抽象的なクラスを拡張する。しかし継承では、子クラスが複数の親クラスを持てない。複数の親クラスがほしいときはトレイト(Ruby ではモジュール)を使おう。色々なクラスを足し合わせても不足するときはコンポジションを使う。
テスト
テストは必要不可欠である。テストがあればなんでもできる。
cf. Kent Beck TDD
振り返り
継承の章以降は斜め読みだが、 Bertrand Meyer の鈍器よりもはるかに薄く、言葉遣いが平易で読みやすい本だった。逆に Meyer はなぜあんなに堅苦しい文体なんだ。
動的型付けもやっぱりいいよな、と思える本だった。簡潔に書けることは良いことだ。静的型付けな言語でも簡潔に書けるテクニックをもっと学んでいこう。
*1:そうは言っても大学は専門学校ではないから、プログラミングのノウハウを教えるのは個々の研究室や学生自身の仕事だろう。教授や助教はプログラミングやOO設計を教えられるほど暇ではないし、それは本職ではない。この前提に立つと、研究室で書くコードは可能な範囲でOSSにして卒業後もメンテできるようにしたり、そもそもできるだけコードを書かずに問題を解決するのがいいかもしれない。研究室のほとんどの学生に、コードのバージョン管理やソーシャルコーディングという概念がないのももったいない。せっかく研究室という一つのまとまりになっているので、CI/CDの仕組みを教えるほうが有益かも。そうなると git から教える必要があるので教育コストはかかる。ただまあ、うちの研究室の卒研生はCLIには慣れているのでなんとかなりそう。
持続可能な大学研究室計算機環境を構成した
うちの研究室にあるサーバや個々のマシンは,教官と院生によって連綿とメンテされてきました。しかし,ドキュメントがほとんどないため去年は引き継ぎが大変でした。そこで,コマンドを 2,3 回叩くだけでほぼすべてのメンテができ,最低限のドキュメントでも引き継ぎが可能な環境を構成しました。今後,GitLab CI/CD を追加しようと思っています。
研究室の計算資源環境
うちは天体物理の研究室で,デスクトップ PC を流用した数台のサーバと,個々の学生が日常的に使うためのデスクトップ PC が 20 台弱ほどあります。ネットワークを構成しているマシンは,これらのなかでサーバと卒研生のマシンで,合わせて 10 台前後と規模としてはそれほど大きくありません。しかし,ドキュメントやスクリプトが十分に用意してあるとはいいがたいものでした。実際,去年にやった引き継ぎではかなりいろいろな苦労をしました。
そこで,最終的に Ansible, Prometheus, Docker, Slack を用いた環境を単一の GitLab.com プライベートリポジトリに構成しました。ちなみに OS は主に Ubuntu です。
Ansible
当初の状態ではいちいち人間が 1 台 1 台の面倒を見なければならず,流石にそれはつらかろうということで,まず Ansible で卒研生用のマシンを管理することにしました。ちょうど春に OS を Debian から Ubuntu に入れ替えようという話になったため,OS のインストールと SSH,あと Ansible を使うのに必要なちょっとした設定以外はすべて Ansible でやってみました。
卒研生用のマシンでは既に NIS と NFS が運用されていたため,まずこれらの設定を自動化しました。また NFS と mozc は lockfile まわりで相性が悪いので,それの対応も行いました。他にもたくさんのこまごまとした設定を Ansible Playbook で一括してできるようになりました。
サーバの設定も,すべてではありませんが Ansible での構成を進めています。Ansible は冪等性が大抵の場合あるので,1 回まともな Playbook を書けば誰がどう実行しようとも安心できるのが良いです。
Ansible は,これだけでほぼ完結するくらい便利だと思います。基本的な設定だけでなく,何か追加でやりたくなったときにコマンド一発で情報をとってきたり,何か追加したりできるのはとても楽です。
Prometheus
各マシンの設定が手軽にできるようになったので,次は監視を整えました。最初は Zabbix を試してみましたが,UI が好みではなかったので Prometheus に乗り換えました。Prometheus 自体はメトリクスの収集とアラート発火だけをやってくれるので,可視化に Grafana を,アラート管理と発出に Alertmanager を,実際に人間がアラートを受け取るのには Slack を用いています。
Prometheus, Grafana, Alertmanager はどれも Docker で動かしています。設定ファイルはバインドマウントし,各アプリケーションのデータ永続化は Docker Volume でやっています。Prometheus と Alertmanager の通信は Docker network 内で行われています。これらの設定を docker-compose ファイルに書いておき,運用者が実際にやるのは docker-compose up -d
のみです。
Prometheus, Grafana, Alertmanager の組み合わせを使う利点は,設定ファイルを YAML 等で書いておくことで,いつでも設定が再現された環境が実行されるという点だと思います。GUI で設定する必要がないです。(Zabbix もテキストベースで設定する方法がないわけではないです。)
GitLab.com
以上の構成をはじめは GitHub のいくつかのリポジトリで管理していましたが,最終的に 1 つの GitLab.com リポジトリに集約しました。 GitLab.com は GitLab 普及を目的としたサービスで,GitLab の基本機能がすべて無料・無制限です。なかでもプライベートグループとプライベートリポジトリが無料・無制限というのが大学の研究室にとって非常にありがたい点です。(ちなみに GitHub も学生ならプライベートリポジトリを無制限につくれますが,引き継ぐことを考えるとオーガニゼーションまで必要です。)
現在の運用では,管制塔となるサーバに人間が入って deploy key を用いていちいち git pull
しています。またコードのテストをまったくしていません。GitLab では CI/CD が組み込まれているため,今後は GitLab CI/CD を用いてテストからデプロイ/デリバリーまで自動化したいと考えています。
HEASoft を Ubuntu 16.04 にインストール
HEASARC の HEASoft を Ubuntu 16.04 にインストールしました。
HEASARCのインストールアウトラインと、 Debian 系インストールマニュアルを参考にしました。 前者のほうが詳細なので基本的にそれを読めばあまり滞りなく進みます。
前提として、操作はすべて bash でおこなっています。
ソースをダウンロード
まずはソースをダウンロードします。 お誂えのバイナリをインストールしてもよいのですが、 最新のソースを自分でビルドするほうが心配が少ないと思います。
STEP 1 - Select the type of software:
SOURCE CODE DISTRIBUTION (Recommended):
のところで Source Code
のラジオボタンにチェックを入れると、
様々なアーキテクチャのリストが表示されます。
その中から自分の使いたいプラットフォームのものを選ぶことができます。
これはソースをダウンロードする上では不要な操作ですが、
HEASARC 側がユーザ統計をとるために用意しているものです。
全部入りソースをダウンロードするだけならページ上部にある
Complete HEASoft source code (all mission & general-use software)
というリンクを wget するなどしてダウンロードできます。
圧縮されたソースは2GB程度あるので、回線にもよりますがダウンロードには数時間かかります。 今回は2時間かかりました。
必要なパッケージをインストール
ソースをダウンロードしているあいだに、必要なパッケージをインストールしておきます。 Debian 系マニュアルにあるとおり、以下のコマンドでインストールすることができます。
$ sudo apt-get -y install libreadline6-dev $ sudo apt-get -y install libncurses5-dev $ sudo apt-get -y install xorg-dev $ sudo apt-get -y install gcc g++ gfortran $ sudo apt-get -y install perl-modules $ sudo apt-get -y install python-dev
Ubuntu 16.04 の場合、これらのうちのいくつかはすでにインストールされています。
ソースを解凍する
ソースのダウンロードが終わったら、それを解凍します。
$ gunzip -c heasoft6.21src.tar.gz | tar xf -
全部入りソースの圧縮ファイルをダウンロードした場合は上のようなファイル名です。 解凍には1分程度かかります。
ビルドの設定をする
解凍してできたディレクトリに入ります。
$ cd heasoft-6.21/BUILD_DIR/
いまから configure するのですが、Debian 系のマニュアルを読むと setenv
,export
コマンドでコンパイラのパスを丁寧に環境変数に設定しています。
この操作は必ずしも必要ではないですが、コンパイラが正常に参照されていないエラーが出た場合や、
独自にコンパイラを指定したい場合に行います。
bash では以下のコマンドで行います。
パスは環境によりますが、マニュアルにある以下のパスはすべて which
したときのパスと一致していました。
$ export CC=/usr/bin/gcc $ export CXX=/usr/bin/g++ $ export FC=/usr/bin/gfortran $ export PERL=/usr/bin/perl $ export PYTHON=/usr/bin/python
では設定をします。何もオプションをつけずに実行すると、heasoft は先ほど展開した heasoft-6.21
にインストールされます。インストール先は --prefix=インストールしたいディレクトリの絶対パス
で指定できます。
今回は /opt/heasarc/heasoft
にインストールすることにしました。ツールは
/usr/local/heasoft
などにインストールするのもありだと思いますが、
FHSに準拠するならば /usr/local
内にパッケージやベンダーごとのディレクトリをつくるべきではないそうです。
$ ./configure --prefix=/opt/heasarc/heasoft > config.out 2>&1 &
これは、 configure が標準出力するログをエラー含めて config.out に書き込んでいます。
末尾に&
がついているので、処理はバックグラウンドで走ります。
何が起きているか見たい場合は、以下のコマンドで config.out の末尾行を監視できます。
$ tail -f config.out
tail
コマンドは Ctrl+c で終了します。
configure が終わったあとに何かしらのコマンドを実行すると、直後に
[1] 終了 configure
のように表示されます。 設定が無事に終わったでしょうか? config.log の最終行が
configure: exit 0
であれば正常に終了したことを意味しています。 0以外で終了した場合は、 多分エラーがあります。 config.log を読みといて、調べてもわからなければヘルプに連絡することになると思います。
ビルドする
ビルドします。
$ make > build.log 2>&1 &
これも先ほどと同様に make の標準出力をログに残しつつバックグラウンドでコンパイルしています。
tail
でログを監視するのも同様にできます。
終わったら、エラーがないかチェックしましょう。
$ grep -G -e "\*\*\*" build.log | less
これは、ログ内で***
を含む行をless
に渡しています。
less
以外にもmore
など色々と読む手段はあるので好きな方法でやってください。
インストールマニュアルによれば、
char *** ...__PRETTY_FUNCTION__," ***...
という内容に言及したエラーは無視していいそうです。
インストールする
ビルドしたものを設置します。
今回は /opt/heasarc/heasoft
にインストールすることにしたので、
権限的に sudo
が必要でした。
$ sudo make install > install.log 2>&1 &
終わったら先ほど同様の方法でエラーを確認しましょう。 無事インストールできたら、インストール先は以下のようなディレクトリ構造になっています。
$ tree -L 1 /opt/heasarc/heasoft/ /opt/heasarc/heasoft/ ├── Xspec ├── attitude ├── demo ├── ftools ├── heacore ├── heagen ├── heasim ├── heatools ├── hitomi ├── image ├── integral ├── nustar ├── spectral ├── suzaku ├── swift ├── tcltk └── x86_64-unknown-linux-gnu-libc2.23 $ tree -L 1 /opt/heasarc/heasoft/x86_64-unknown-linux-gnu-libc2.23/ /opt/heasarc/heasoft/x86_64-unknown-linux-gnu-libc2.23/ ├── BUILD_DIR ├── bin ├── fguipfiles ├── headas-init.csh -> BUILD_DIR/headas-init.csh ├── headas-init.sh -> BUILD_DIR/headas-init.sh ├── help ├── include ├── lib ├── man ├── refdata ├── share ├── syspfiles └── xrdefaults
初期化
膨大なパスを通してくれるシェルスクリプトを実行します。以下の内容を ~/.bashrc
に記述します。
HEADAS=/opt/heasarc/heasoft/x86_64-unknown-linux-gnu-libc2.23 export HEADAS alias heainit=". $HEADAS/headas-init.sh" heainit
1行目でHEADASという変数にスクリプトがある場所を代入して、
2行目でそれを環境変数にし、
3行目では .
コマンドによって初期化スクリプトが設定する環境変数をカレントシェルでも使えるようにする、
という処理をエイリアス heainit
に設定しています。
これにより、ログオンしたら heainit
を実行すると適切なパスが設定されるようになっています。
しかしターミナルを起動するたびに必ずコマンドを打つのは不合理なので、
heainit
を実行してくれるよう4行目に書いています。
Done
以上でHEASoftのインストールは終わりです。
Gentoo のインストールで気をつけたいこと
研究室のPCに Gentoo をインストールしてみました。 カーネルのビルド設定などでちょっと右往左往したので、最低限気をつけたいポイントについて。
USB
最近のマザーボードはUSB端子はあってもPS/2コネクタはないことが多いです。USB 3.0、2.0両方のサポートをオンにしておいたほうがいいでしょう。僕はここで失敗してキーボードが反応しませんでした。ハンドブックの記述は若干古いので、wikiのカーネルコンフィグレーションガイドをよく読んで下さい。
Ethernet
ネットワークアダプタはベンダー固有のサポート項目をオンにする必要があります。ネットワーク関係はハンドブックでは1行しか触れられていないので見過ごしやすいかもしれません。 lspci
で最後のほうにネットワークアダプタのメーカーと名前が表示されるので、そのベンダーをデバイスドライバのイーサネットサポートのリストから探してください。僕はこれを見落としてネットにつながりませんでした。
またフォーラムで見かけた情報で定かではないのですが、gigabit ethernet コントローラのように高速なネットワークアダプタはPHYまわりのサポートが必要だとか。
メディアを抜くタイミング
これはビルド設定とはまったく関係ないのですが、Ubuntu などの親切なディストロをインストールしたときのことを思い出すと、インストールメディアを抜くのは reboot
コマンドによってマシンが再起動し始めてから、BIOS/UEFI によってブートが始まるまでのあいだです。 reboot
コマンドの前にメディアを抜いてしまって、コマンドが効かなくなり裏技によって再起動したのはなかなかおもしろい経験でした。
Now dismiss
ちなみに Gentoo のインストールそのものは、LiveUSB を使って最小構成なら1時間かからずできるようになりました。 desktop プロファイルなどを選択した場合は、@world
の更新だけでも1時間ほどかかるのでそれほど短時間では終わらないです。
USB と ethernet の設定さえ正しければ、キーボードが動いてネットにつながるということです。たとえカーネル設定がひどいものだったとしても、この2つさえ動いていれば、あとはカーネルの設定を変更してまたビルドすればいいだけです。
僕はきれいなデスクトップが欲しくて結局 Ubuntu (まだ Unity) をインストールし直しましたが。